2010年に光文社文庫から刊行された森見登美彦著『美女と竹林』について感想を書きます。
フィクションエッセイとは
エッセイとは本来、自身の体験を書くものである。
この話では、森見登美彦氏は竹を刈った。しかし読者にはそれの証拠となるものは何一つ提供されない。
編集部の方々と撮った写真や、竹林の写真や住所、明石氏の勤める弁護士事務所の詳しい情報も何もない。
つまり、本当に竹を刈ったのか不明と言うことになる。全て机上の空想かも知れない。
作中の森見氏自身も、「あとは机上でどうにかする」といった旨の発言をしており、また2018年において自社がどのような経営状態にあるかといった妄言も記さえておりこれを純粋なドキュメンタリーとするのは無理があるというものである。
真実とは竹林にある
では、この本には嘘しか書かれていないのか。それも否である。いくつか真実がある。
まず、作中で森見氏が執筆していた『夜は短し歩けよ乙女』『新訳 走れメロス 他四篇』『有頂天家族』『奇想と微笑 太宰治傑作選』は現実であり出版もなされている。
- 作者: 森見登美彦
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また、『夜は短し歩けよ乙女』が山本周五郎賞を受賞したのも本当である。凄い。
作中で披露された竹知識も本当であると推測される。
無断で筍を採取しようとして逮捕者が出た事件も本当である。
竹を刈ろう
ここで、竹を刈る事で得られる効果をまとめてみる。
- 筋肉がムキムキになる。(要伐採後のステーキ補給)
- 司法試験に受かる
- 筍が喰える
- 歯ごたえのあるケーキが食べられる
- 編集者と団結できる
- かぐや姫と出会えるかも知れない(モウチクソウでは無理)
- 美人妻と結婚できる
- 竹林経営によって大企業の社長になる
どうだろうか、竹を刈りたくなっただろうか。
竹林の夜明けぜよ!
そこら辺の野草でさえ摘めば「自然破壊だ!」と罵られそうな昨今、個人で竹林を伐採するのは難儀である。
しかし、難儀な事に挑戦することこそが人生であり魂を鍛えるとも書かれている。
竹林を伐採しよう。攻め入る竹から人類の領土を守ろう。
そういうわけで、タクティクスバンブーディフェンスゲームなんか出ないかと思ったりするのである。