ねむい

睡魔と戦うのに忙しいので労働は別な人に任せたい

『わがままちえちゃん』(著:志村貴子) 感想

はじめに

志村貴子先生の新刊かと思って買ったら去年の4月刊行だった『わがままちえちゃん』の感想です。


まだ1周しか読んでおりませんが、1周の時に感じた事を書き綴っていきます。
感想は主にキャラにスポットを当てていきます。

ちえちゃん

人の心が分からないけど、小学生にしては多感で考えすぎなところがあったちえちゃん。
むしろ、人の心がわからなくなっていったのは「さほより親に愛されている」という罪悪感だったのかも?
時間が経っても気持ちの整理がついてなくて終盤まで不安定で、全然分からない事だらけのキャラだけど、そこも読んでいけば分かるかな?
半落ち着いていったのは素直に読んでいって安心しました。不謹慎ギャグのシーンとか、この子でもこんな表情とフォローするんだなあ…とか。

語り部としては冒頭をはじめ、いろいろと読者を惑わしてきて困りました。魔性のオンナですわ。

さほちゃん

しっかり者の妹ちゃん。
本物(?)が登場するのは終盤間近で、それまでずっとちえちゃんの想像と記憶でのみ登場という。
終始救いがない感じだけど、不幸そうな素振りをぜんぜん見せないところがまた大人っぽい。
さほちゃんはさほちゃんで、ちえちゃんが高校生になるまでにやってきたことを全て見ているからかなあ。
見ているのに伝わらない伝えられない歯がゆさをずっと噛み締めて居たのかと思うと辛い…。

利根川さん

いい人、だけどちょっとズレてるかも?
ちえちゃんのズレた所や自分の汚い部分を受け入れられる懐の広さが魅力的。
久保田を即通報しない慈悲深さもある。あれ、女神?
エゴな部分が薄くて良い人ばかりというイメージで、微妙に影が薄い。
もっとワガママ言っても良かったのよ?

久保田

援交とか最低です。
ただ霊能力は本物で、終盤役に立っていくのが不思議な感覚。
酷いけど、酷くない人。妙に素直な所が憎みきれません。
援交したけど。

その他

ななえさん

ちえちゃんの味方であり、中立な人。
優しいけど、少しだけ歩みが足りなかったかなー…とか思ったり。
でもちえちゃんのために泣いてくれたのは作中この人だけだったよ。
ちえちゃんの心に寄り添おうとしたのもきっと…。

乾くん

おいコラ乾おまえー!

おわりに

この作品を読んでいて驚いたのは、まず展開のトリッキーさ。何が本当で何が嘘か。
何度も前の話に戻りながら読んでましたね。
そしてキャラの活かし方。モブかと思ったらそこでお前か―!というね。
私の好きなパターンなので嬉しく思いました。

ちえちゃんの昔の失敗を後までずっと引きずる所は私も似た所があるので共感しながら読んでました。
失敗とか泣かせちゃった事とか、覚えててはふとした時に思い出して凹んだり、心の中で謝ったり。
あと、どうしようもなく自分と他人を比較しちゃったりとか。そういう部分が似てるなと思いながら読んでいました。

次に読むのは明日か来月か、あるいはもっと先か。
きっと読む時々によって感想が変わりそうな、そんな作品じゃないかなと思います。